カスタマーサクセス(特にスケール)に関わる人の心行き

Masato Koizumi
Dec 23, 2020

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このポストは cmkt Advent Calendar 2020 の 24 日目のエントリーになります。

カスタマーサクセスとは何ぞやら、スケールするためのコツ、フレームワークや、ジャーニーマップやらといったことは、これまでの 23 日間、また明日の Sansan の山田さんが綺麗にまとめて下さる(はず!)ポストを参照ください。

昔に比べて、カスタマーサクセスやそれをスケールする手法の情報や文献は格段に増えてはいますが、実際にはどうやって始めたら、、、何から手を付ければ、、、といった悩みにぶつかることが多いのではないのでしょうか?また、最近お話させていただいた多くの方が似たような悩みを抱えていました。

今回は、カスタマーサクセス(特にスケール)に関わる上で、個人的に心にいつも留めていること(心行き: 心の向かい方、心の持ち方)を紹介できればと思います。超個人的ですが、、、

心行き 1: Do the common things uncommonly well (当たり前のことを当たり前じゃないくらいきちんとやる)

Gainsight の Pulse Academy に初めて参加したときに、言われた言葉です。

そもそも何が当たり前なのか。カスタマーサクセスを提供する側になった途端、見失いがちで、また、キラキラしたユーザイベントやデータやプラットフォームを駆使した自動化された何か壮大な夢を見ていることばかりに気がいっていませんか?次のようなユーザにとっての「当たり前」、できていますか?

● ユーザがどのタイミングで、何をしなければいけないのか、明確で、きちんとまとまって、必要なリソースに過不足なくアクセスできる(コンテンツの作成、メールやプロダクト内でのエンゲージ)

● 何か困ったときにググったら、欲しい回答がきちんとヒットする(SEO 対策や検索連動型広告)

● ユーザが投資した金額に対して、どの程度価値を享受できているのか? (ヘルスチェック機能や ROI 情報などの提供)

どういったエンゲージをどのタイミングでどういった形でほしいのか。それをきちんと理解し、この「当たり前」を確実に一個一個行っていくことを常に念頭に置いています。けど、当たり前って難しいものなのです。当たり前=簡単ではありません。だからこそ、一個ずつ確実に当たり前じゃないくらいきちんとやることが大切だと思います。

地味だし、急激な数値的改善としては見えてこないかもしれないけど、ずっとホームランだけを狙っている前に、とりあえず塁に出てみませんか?

心行き 2: Customer Success is a journey (カスタマーサクセスは旅)

これも Gainsight の Pulse に初めて参加したときに繰り返し言っていた言葉です。それもカスタマーサクセスを立ち上げたばかりの組織では、孤独な旅です(長年やっていても常に感じますが、、、)。

ゴールがない旅なのかもしれません。悩みは尽きないもので、市場や顧客の期待の変化、製品の成熟度によって、常に新しい課題にぶつかりますし、「顧客のために何かできているの?」「組織に数字として何かインパクトを残せているの?」という自問自答をする日々です。

しかし、「当たり前」を確実に一個ずつやっていると、確実に山を登っていて、違った景色が見えるようになり、思い描いたきれいな景色にちょっとでもちかくなったかなっていう感覚もあります(といっても、月まで歩いていくような感覚はまだまだありますが、、、)。

● 営業やマーケティングが非協力的?(とりあえずはハイキングが好きなメンバーだけで一歩踏み出してみませんか?)

● ヘルススコアやカスタマージャーニー、KPI は常に見直していくもの(何か完璧なものに縛られていませんか?手元にある地図はとても簡素なものかもしれません。道に迷いながらでも進むと、自分たちにはどんなものが必要なものがわかるはずです)

● データやプラットフォームがないと理由にしてませんか?(夏の高尾山(標高が低い山)を登るのに、冬のエベレスト(標高が高い山)を登る準備をしようとしていませんか?小さく、手作業でもいいじゃないですか)

肩の力抜いてみませんか?本当の山ではないので、死んだりしません。

心行き 3: Execution, execution, and execution (とりあえず始める、手を止めない)

個人的にも反省はしていますが、多くのところで「ユースケース決め、ステージや顧客行動を観察した上で、きっちり設計していくことが、カスタマーサクセスをスケールするには重要!」と言い過ぎたものありますが、Do なしの Plan は全く価値がないものです。

前項の「カスタマーサクセスは旅」から続く話ですが、完璧な Plan(計画)を作ることに長い時間かけすぎではないですか?2:8(Strategy : Execution) の割合が妥当な割合と思っています。

Strategy(仮定)を決めたら、とりあえず、Execution(やってみる)してみる。

● 完璧をついつい目指しがち(カスタマーサクセスの活動って全て顧客のためじゃないですか。何か悪いことしていますか?とりあえず、100 を目指しすぎて止まっているより、その中の 1 でも提供してみませんか?)

● カスタマージャーニーがうまく書けない(とりあえず仮定や想像でもいいじゃないですか。紙と鉛筆をもってかいてみましょう。弊社のカスタマージャーニーは最初 4 つのステージでした。5 年かけて、16 ステージになりました)

● テックタッチだから顧客がよく見えない(ではタックタッチの顧客に会って話を聞いてみたらどうですか?データは顧客の状態を表してくれますが、why (理由)を読み取るのは難しいです)

● KPI 何をみたらいいですか? (そんなに見れるものがありますか?とりあえず、見れるものを見てみましょう。そうするともっと必要なものが見えてきます)

心行き 1 でとりあえず塁に出てみませんか?といいましたが、塁に出るために、とりあえずバットを振ってみませんか?空振りだっていいじゃないですか。振り方が分からない?そしたら聞いてみたらいいじゃないですか。そのうちどうやってバットを振ったらいいかコツがつかめるはずです。

心行き 4: Digital first(デジタルファースト)

これをいうとハイタッチの人に嫌われますが、私もハイタッチが最もインパクトの大きな手法だと思っています。しかし、「スケールしないカスタマーサクセスはカスタマーサクセスではない」という信念があります。組織としてカスタマーサクセスを行うからには、スケールさせることが必須です。

最初は多くのことが、手作業やハイタッチに依存することが多いかと思いますが、Digital first(デジタルファースト)のマインドは常に持っていることが大切です。

● テックタッチはハイタッチの劣化版ではない(役割が違うものです。銀行の窓口 vs ATM)

● テックタッチとハイタッチは癒合しているもの(セグメンテーションではありません。あのピラミッド、XXタッチって忘れてみませんか?どっちかってものではないはずだと思っています)

● Tech touches for high touches(データやテクノロジーを使うことによって、ハイタッチを効果的にできる、人の介在を効率化できることないかな?という視点で考えると、様々な形の「テックタッチ」が想像できるはずだと思っています。社内の CSM に対するテックタッチなんていうことだってスコープになりえます)

デジタル、データ、テックタッチとは特別な何かすごいことではないのです。対面で行っていたことを一部オンラインに移行できるかな?ハイタッチ CSM が作るサクセスプラン、一部オンラインでユーザに埋めてもらえないかな?といった「ちょっとしたテックタッチ」を一個ずつ広げてみませんか?

いくら人の話を聞いても状況は違うし、なんか高尚なことに惑わされず、確実に一歩踏み出すことで、自分のサクセスが分かってくるものだと思っています。恐らく、このポストを読んでいる多くの人は、すでに十分な前提理解や知識はお持ちです。

色々なイベントで、アウトプットとよく言われますが、アウトプットとは自分の手を動かし、何か得ることだと思っています。人の話を聞いて、Twitter に投稿することは Tweet で、Output ではないのです。本当のアウトプットをするためにも、このポストによって、皆さんが明日、一歩踏み出すきっかけになればと思っています。自戒もこめて、、、

最後になりましたが、Merry Christmas & Happy New Year!

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Masato Koizumi

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